2018年12月01日号
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artscapeレビュー

守田衣利写真展「Close your eyes, make a wish.」

2015年02月15日号

会期:2015/01/14~2015/01/27

銀座ニコンサロン[東京都]

守田衣利はフェリス女学院大学卒業後、アメリカ・ニューヨークのICP(International Center of Photography)で写真を学んだ。1998年に第7回キヤノン写真新世紀で優秀賞(ホンマタカシ選)を受賞し、2005年には写真集『ホームドラマ』(新風舎)を刊行している。現在はカリフォルニア州サンディエゴに在住しており、渡米して19年になるそうだが、今回銀座ニコンサロンで展示された「Close your eyes, make a wish.」には、その経験の蓄積がしっかりと形をとっているように感じた。
守田は2000年にアメリカ人と結婚し、2005年に娘が生まれる。その間に一家はハワイ・マウイ島、東京、熊本、上海、サンタモニカと移動し、守田自身は流産や死産を経験した。今回のシリーズはその間に家族、友人、親戚らにカメラを向けたもので、基本的には前作『ホームドラマ』の延長上にある。中判デジタルカメラの緻密な描写力と画像の情報量の多さを活かした40点の作品を眺めていると、何気なく過ぎ去っていく日々の営みに、小さな、だが取り返しのつかない無数の「ドラマ」が埋め込まれていることに気がつく。しかもそれらは、みるみるうちに色褪せ、消え失せてしまうので、写真で記録しておく以外には保ち続けるのがむずかしいものだ。守田の写真撮影の行為が、そんな記憶を大切にキープしておくために、あたかも毎日の祈りのように続けられていることがよく伝わってきた。
これらの写真をベースにしながら、守田はサンディエゴ周辺の中流家庭の子供たちを、夢と現実の間に宙づりになっているような感触で捉えた『In This Beautiful Bubble』シリーズの撮影も続けている。会場に置いてあったポートフォリオ・ブックを見ると、こちらもほぼ完成しつつあるようだ。写真家として、充実した仕事を次々に発表していく時期にさしかかっているということだろう。

2015/01/14(水)(飯沢耕太郎)

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