artscapeレビュー

表現の不自由展──消されたものたち

2015年02月15日号

会期:2015/01/18~2015/02/01

ギャラリー古藤[東京都]

最近、フランスの風刺新聞「シャルリー・エブド」襲撃事件に象徴されるように、表現の自由が問われる事件が相次いでいる。日本でも昨年、ろくでなし子や鷹野隆大の「作品」が「ワイセツ」の疑いで問題になった。この「表現の不自由展」は3年前、新宿ニコンサロンで予定されていた元慰安婦を題材にした安世鴻の写真展が中止を通告される事件があったが、その抗議運動に端を発するものだという。そのせいか、紹介される作品は安の写真をはじめ、駐韓日本大使館前に設置されたことで知られるキム・ソギョン&キム・ウンソンの慰安婦像、昭和天皇の肖像を使った山下菊二のコラージュや大浦信行の版画シリーズなど、慰安婦問題や天皇という禁忌に触れたために、つまり政治的な理由で問題化した作品が多い。ワイセツの場合はよくも悪くも見ればわかるが、ここに出ている作品たちはいったいなにが問題なのか、なぜこれを見せたらいけないのか、理解しにくい。むしろ、この程度のもの(といったら失礼だが)を規制することで問題が表面化し、それがマスコミに取り上げられれば世間に広まり、作者の宣伝に一役買うことになるだろう。検閲がなければみんな見過ごしていたのに、検閲されたことで逆に広く知られるようになることだってあるのだ。

2015/01/26(月)(村田真)

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