artscapeレビュー

今井祝雄 タイム・コレクション

2015年03月15日号

会期:2015/01/14~2015/03/11

ユミコチバアソシエイツ[東京都]

同ギャラリーでは最近、高松次郎に若江漢字と60-70年代作家の個展が多いが、今井祝雄もそのひとり。今井は1964年、弱冠17歳で具体美術協会に参加し、70-80年代にはコンセプチュアルアートやビデオアートを手がけてきた。たとえば、裸の本人が自写撮りしたポラロイドを体に貼りつけていき、肌が隠れるまで繰り返すといった作品。この作品に対して、裸の写真で裸を覆うという矛盾も指摘できるし、また徐々に露出度が減っていくという時間の推移を読み取ることもできる。さらによく見れば、1枚目の写真には裸の本人が写ってるだけだが、2枚目の写真には1枚目の写真が入れ子状に写り込んでおり、3枚目の写真には1枚目の写真が入れ子状に写り込んでるだけでなく、1枚目の写真が入れ子状に写り込んだ2枚目の写真が入れ子状に写り込んでおり、4枚目の写真には……といった具合に、最終的には体に貼りつけた枚数分だけ入れ子状に写真が写り込んでおり(もちろん実際には見えないが)、しかもポラロイドの性質から新しい写真ほど薄く不鮮明であることも指摘しなければならない。ほとんど迷宮のような世界。そういえばこの時期マニエリスムへの関心が高まっていたなあ。

2015/02/20(金)(村田真)

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