2017年11月15日号
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artscapeレビュー

ロバート・フランク「MEMORY─ロバート・フランクと元村和彦」

2015年04月15日号

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会期:2015/02/20~2015/04/18

gallery bauhaus[東京都]

1970年11月のある日、二人の日本人が当時ニューヨーク・バワリー・ストリートにあったロバート・フランクの部屋を訪ねた。そのうちの一人が元村和彦で、この訪問をきっかけにして、彼が設立した邑元舎から、フランクの写真集『私の手の詩』(1972年)が刊行された。その後、邑元舎からは『花は……FLOWER IS』(1987年)、『THE AMERICANS 81 Contact Sheets』(2009年)とフランクの写真集があわせて3冊出版され、彼らの交友も2014年夏に元村が死去するまで続くことになる。
今回のgallery bauhausでの展覧会は、その間にフランクから元村の手に渡ったプリントから、約50点を選んで展示している。そのなかには、これまで日本では未公開の作品、23点も含まれているという。この「元村和彦コレクション」の最大の特徴は、彼らの互いに互いをリスペクトしあう親密な関係が、色濃く滲み出ている作品が多いことだろう。たとえば、1994年にフランクが日本に来た時に撮影した写真をモザイク状に並べた作品には、元村以外にも、写真家の鈴木清、荒木経惟、『私の手の詩』の装丁を担当した杉浦康平、写真評論家の平木収らが写り込んでいる。また97年に、元村がフランクの住居があるカナダ・ノヴァスコシア州のマブーを訪ねた時のポートレートもある。1981年の「NEW YEARS DAY」に撮影された写真には「BE HAPPY」と書き込まれている。このような、挨拶を交わすように写真を使うことこそ、フランクの写真の本質的なあり方をさし示しているようにも思えるのだ。
気になるのは、この「元村和彦コレクション」が今後どのように管理され、公開されていくのかということだ。美術館に一括して収蔵するという話もあるようだが、ぜひ散逸しないようにまとまった形でキープしていってほしい。

2015/03/13(金)(飯沢耕太郎)

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