2017年11月15日号
次回12月1日更新予定

artscapeレビュー

竹之内祐幸「鴉」

2015年04月15日号

twitterでつぶやく

会期:2015/03/04~2015/04/28

フォト・ギャラリー・インターナショナル[東京都]

「鴉」といえば、どうしても深瀬昌久の同名の写真集(蒼穹舎、1986年)を思い出してしまう。不吉で禍々しいカラスたちの姿に、自分自身の孤独を投影した凄絶な写真群だが、1982年生まれの竹之内祐幸の作品はだいぶ肌合いが違う。竹之内は2013年のある日、代々木公園を散歩中に、日光浴しているカラスに興味を引かれて、たまたま持っていたカメラのシャッターを切ったのだという。それから折りに触れて撮影されたカラスたちの写真に、スケートボーダー、池の亀と鯉、卓上の静物などの写真をあわせたのが本シリーズで、そこにはゆったりとした、のびやかな空気感が漂っていた。おそらく、カラーで撮影していることが大きいのではないかと思う。
むろん、竹之内もカラスにまつわりつく「怖い鳥」、「嫌われている鳥」というイメージはよく承知している。だが「人間が勝手に抱いている印象とは無関係で、自由に楽しそうに過ごしている」という第一印象にこだわり続けたのが、とてもよかったのではないだろうか。結果として、彼の「鴉」は、深瀬昌久の呪縛から逃れ、単なる鳥の生態写真とも違った独特のポジションに立つことができた。ただ、このままだと「鴉」の表象に曖昧にもたれかかった作品に終わりかねない。もう少し、カラスと他の被写体の写真とをどのように組み合わせていくか、さらにそのことによって何が見えてくるかを意識して、作品全体を緊密に構築していくべきだろう。次の展開に期待したい。

2015/03/19(木)(飯沢耕太郎)

▲ページの先頭へ

2015年04月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ