2017年11月15日号
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artscapeレビュー

遠藤湖舟「天空の美、地上の美」

2015年04月15日号

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会期:2015/03/15~2015/04/05

日本橋高島屋8階ホール[東京都]

遠藤湖舟は1954年、長野県生まれ。中学時代から天体写真を撮りはじめ、その後、撮影の範囲を広げて、独自の自然写真の世界を作り上げていった。今回の展覧会では、音楽にも造詣が深い彼らしく、楽曲の構成で作品が並んでいた。
前奏曲「宇宙を受け止める」から、第一楽章「月」、第二楽章「太陽」、第三楽章「空」、第四楽章「星」、第五楽章「ゆらぎ」、第六楽章「かたわら」、終曲「雫」と続く130点余りの作品を見ると、あくまでも細やかな自然観察をベースにしながら、宇宙からごく身近な環境にまで目を凝らし、写真というフィルターを介することで新たに見えてくる「美」を定着しようという彼の意図がよく伝わってくる。特に、第五楽章「ゆらぎ」の、水の反映を色と光とフォルムの抽象的なパターンに還元していく試みは興味深い。そこに出現してくる華麗で装飾的な絵模様は、まさに「現代の琳派」につながっていくのではないだろうか。
もう一つ、可能性を感じたのは、作品を単純にフレーミングして壁に掛けるのではなく、アクリルボードでトンネルを作ったり、屏風や掛け軸に仕立てたりする展示の手法である。現代美術寄りのインスタレーションではなく、日本の観客にも馴染んでいる見せ方を工夫することで、デパートの催事場にふさわしい展示になっていた。さらに作品の何点かは、豪華な「龍村錦帯」のデザインに転用されている。写真の画像の活かし方として、これまでにない展開といえるだろう。今回は和風のテイストだったが、写真によっては洋服のファッション・デザイナーとのコラボレーションも充分に考えられそうだ。

2015/03/25(水)(飯沢耕太郎)

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