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和歌山と関西の美術家たち リアルのリアルのリアルの

2015年05月15日号

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会期:2015/03/14~2015/05/10

和歌山県立近代美術館[和歌山県]

インターネットの普及や仮想現実の急速な進歩などにより「リアル」の感覚が揺らぎ、レイヤー化した空間に複数の自分がいるような感覚を抱いている人は少なくないと思う。本展は、現代におけるリアリティを探るべく、5人の若手アーティストの世界を紹介する展覧会だ。岡田一郎は、ある国の風景写真に別の国の標識や記号を重ね合わせた作品など複数のシリーズを出品し、小柳裕は、街灯がともる夜景や室内の照明器具を細密に描いて、現実と絵画空間を往還するような表現を見せてくれた。大久保陽平は日常的な掃除道具や家電製品をモチーフにした磁器立体を、君平は鉄の物質的特徴を生かした熱のドローイングや微生物を模した巨大立体を出品。伊藤彩は、過去作品を総動員した大規模ジオラマを元に制作した縦5メートル横21メートルもの巨大絵画と、ジオラマの一部を再構成したインスタレーションを発表した。主催者は彼らの作品から解を導こうとしたのではなく、むしろ単一の答えなどないことを訴えたかったのかもしれない。当方も万華鏡を覗き込むように多彩な表現を楽しんだ。なかでも伊藤彩の作品は圧倒的に素晴らしく、現時点での彼女の最高傑作を見られたことに感動した。

2015/04/05(日)(小吹隆文)

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