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KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2015

2015年05月15日号

会期:2015/04/18~2015/05/10

虎屋 京都ギャラリー、有斐斎 弘道館、京都市役所前広場、コム デ ギャルソン京都店、堀川御池ギャラリー、嶋臺ギャラリー、ギャラリー素形、誉田屋源兵衛 黒蔵、無名舎、花洛庵(野口家住宅)、両足院(建仁寺内)、ASPHODEL、祇園新橋伝統的建造物、SferaExhibition、村上重ビル 地下[京都府]

京都市内の伝統的建造物、寺社、現代建築などを舞台に開催される国際写真展。3回目となる今年は、「TRIBE ─あなたはどこにいるのか」をテーマに市内中心部15会場で開催されている。出品作家は、ジャズの名門ブルーノートで写真撮影を担当したフランシス・ウルフ、20世紀を代表する写真家の一人マルク・リブー、現代文明に背を向けて自給自足生活する人々を捉えたルーカス・フォリア、大阪で共に過ごしたパンクスやスケーターたちとの破天荒な日常を生々しくドキュメントした山谷佑介、1950年代に能登の海女を取材したフォスコ・マライーニ、アフリカ・コンゴの平和主義のお洒落紳士たち「サプール」を紹介するボードワン・ムアンダなど、9カ国14組。全体を通して多文化主義が貫かれており、企画時期から直接の関係はないと思われるものの、結果的に今年1月にパリで発生したシャルリ・エブド紙襲撃事件への応答となっている。毎回、優れた写真作品と京都の歴史・文化を共に味わえる「KYOTOGRAPHIE」だが、今回はテーマの時事性という観点からも高い評価が得られるだろう。
ウェブサイト:http://www.kyotographie.jp/

2015/04/17(金)(小吹隆文)

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