2017年11月15日号
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artscapeレビュー

特集陳列 雛まつりと人形

2015年05月15日号

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会期:2015/02/21~2015/04/07

京都国立博物館[京都府]

春先、雛人形をかざる展覧会やイベントが各地で開催される。本展もそのひとつ。雛人形や御所人形、嵯峨人形、からくり人形など、京都国立博物館所蔵の人形25組による展覧会である。女の子の健やかな成長を祈念して人形をかざる行事として、雛まつりが日本各地に広がったのは江戸時代だといわれる。本展では、寛永雛、元禄雛、享保雛と時代を追って雛人形の変化をみてとることができる。
出品された雛人形のなかでもっとも目を引くのは、明治初期につくられた《御殿飾り雛》だろう。上段に設けられた内裏雛のすまう御殿では、侍女たちや大臣たち、囃子方たちが生き生きとした仕草や表情を見せ、下段では、箪笥や長持、御膳や重箱などの婚礼道具がにぎにぎしく並ぶ。その大仕掛けな構えと一つひとつの細々とした丹念な造りは、すでに子どもの愛でるものを超えて大人の享楽の域に達しているように思う。まるで、本物を縮尺した極小の別世界がそこに立ち現われたかのようである。そうかと思うと、高さが50センチにも及ぶ大きな雛人形《享保雛》もある。分厚い飾り畳の上にどっかりと座した二体の人形は、白く磨き上げられた顔に微かな笑みを浮かべ、きっちりとつくり込まれた衣装を身につけて異様なほどの存在感をただよわせている。
雛人形を展示したこの一室で、工芸品を鑑賞するというのとはまた別の体験をした気さえした。[平光睦子]

2015/04/03(金)(SYNK)

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