2017年11月15日号
次回12月1日更新予定

artscapeレビュー

ヨーロピアン・モード

2015年05月15日号

twitterでつぶやく

会期:2015/03/07~2015/05/13

文化学園服飾博物館[東京都]

18世紀半ばから20世紀末まで、250年にわたるヨーロッパの女性ファッションを通史で見る、毎年恒例の服飾史入門企画。この展示の特徴は、様式の移り変わりを実物資料で追うばかりではなく、そのような様式の出現、変遷の理由について、同時代の社会経済的背景を解説することで、ファッションの歴史を立体的に見せている点にある。いつものように、館内には熱心にメモを取る学生の姿がたくさん見られる。
 1階展示室では特集としてデニムの歴史が取り上げられている。デニムというとアメリカにおける作業着からファッションへの展開の歴史がイメージされるが、起源はヨーロッパにあるという。デニム(denim)の基本は縦糸が藍、緯糸が未晒しの木綿の綾織地。デニムの語源は「セルジュ・ドゥ・ニーム(serge de N mes)」、すなわちフランス・ニーム地方の綾織物にあるという。この丈夫な綾織生地が19世紀半ばにアメリカに渡って労働者の仕事着となり、リーバイス(1853年創業)やリー(1889年創業)といったジーンズメーカーを生み出した。展示はニーム地方の織物から始まり、ヨーロッパの藍染の作業着、アメリカにおけるデニムの展開に至る。実物資料以外の興味深い展示品としては、モンゴメリー・ウォードやシアーズ・ローバックなど、アメリカのメールオーダー会社が刊行した通販カタログや、ファッション誌がある。展示では一部のページを見せているだけだが、これらの各シーズンのカタログや雑誌の写真を追っていくだけでもアメリカにおけるデニムの位置づけの変遷がよくわかるに違いない。展示ではさらに海外でも高い評価を受けている日本のデニムが紹介されている。日本のデニムの産地は三備地区(岡山県南部および広島県東部)。江戸時代から木綿の生産が盛んだった地域で、学生服の製造を経てデニムの生産に展開してきたという。大阪のエヴィスや児島の桃太郎ジーンズなどによるレプリカ・ヴィンテージ・ジーンズの紹介、デニムの糸染め、織布、縫製、洗い加工、シワ加工の実際を紹介する映像もとても興味深い。なかでもヴィンテージ・ジーンズのデータを用いたレーザーによるダメージ加工には驚かされた。[新川徳彦]


2階展示風景


1階展示風景

2015/04/22(水)(SYNK)

▲ページの先頭へ

artscapeレビュー /relation/e_00030228.json l 10111123

2015年05月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ