2018年10月15日号
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artscapeレビュー

横尾忠則 展「カット&ペースト」

2015年06月01日号

会期:2015/04/18~2015/07/20

横尾忠則現代美術館[兵庫県]

1980年代末から90年代初めの時期にかけて描かれた横尾忠則の絵画作品を「カット&ペースト」をキーワードに読み解く展覧会。私たちが日ごろPCで常用する操作「カット&ペースト」を、たんなる手法というより、むしろ芸術上の重要な概念として、横尾が先取りしていたという点が非常に興味深い。そしてこれが、グラフィックデザイナーから出発した彼の職能(版下作りの経験等)に由来しているという。80年代後期の作品は、画面を20センチ幅に切り、古典的絵画や映画等の多様な図像を描いた細長い布を編み物状に貼り付け、元のキャンヴァス上の図像とはまったく異なるコンテクストをもたらす試みを特徴とする。そこでは同時に、切り裂かれた布の物質性を強調するがごとく、垂れ下がった糸やねじって転回された様態で張り付けられ、画面に新しい次元がもたらされていた。90年代になると、CGの技法を用いた作品、「テクナメーション」(テクニックとアニメーションをかけた造語)が登場する。過剰なまでにカット&ペーストされた多様なイメージの集積とアニメのように動く水流で構成される仮想空間は、まるで万華鏡のような効果をもたらしている。ちょうど、DTPがグラフィックデザインに普及したのがこのころ。横尾が創り出す奇想でありながら洗練された概念的なアートに見惚れた。[竹内有子]

2015/05/04(月)(SYNK)

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