2018年12月15日号
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artscapeレビュー

かえるP『Color babar』

2015年06月01日号

会期:2015/05/15~2015/05/18

こまばアゴラ劇場[東京都]

桜美林大学出身の大園康司と橋本規靖が振り付け、演出を行なうかえるPの第6回公演。印象的なのは、ポップソングにあわせて踊るシーン。とくにビリー・ジョエルの「ピアノ・マン」をバックに20代の男3人が激しく踊るところは鮮烈だった。腹を「ピシッ」と叩くしぐさなどコミカルな振りもあるけれど、こわばり、力の出しどころが見当たらないかのような、もどかしい身振りになにより惹かれる。モーリス・ベジャールのソロにも似ていなくはないけれど、芸術系よりは、ジェローム・ロビンスやボブ・フォッシーなどのミュージカル映画系のダンスになぞらえたくなる。絶対にいわゆる〈美しい振り付け〉はしたくない。既存のダンス・テクニックとも距離を置きたい。身体がここにあることを伝えたい。できたらその身体が嘘っぽくなく躍動していてほしい。そんな思いがこちらの胸に飛び込んでくる。タイトルは「からあ・ばばあ」と読める。なるほど、老人の身体なのか、腰を屈めた姿勢でうろうろするシーンがあり、そんなところでは「コンセプトだけ知っているけど見たことないままに舞踏を踊ってみたひと」みたいに見えた。正直、なぜこの角度のセンスなんだろうと理解できない部分もあるが、それは近年の若者ロックに思うのと同じような疑問で、99パーセント筆者が年をとった徴だろう。ただ、できることならば、2人の審美性がもう一歩だけ観客に近づいて伝わりやすい部分が増すならば、ダイナミックな展開が始まるのだろう。そんな予感に満ちた作品だった。

2015/05/17(日)(木村覚)

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