2017年05月15日号
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artscapeレビュー

藤原更「La vie en rose Phosphorescences」

2015年07月15日号

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会期:2015/05/22~2015/06/20

EMON PHOTO GALLERY[東京都]

藤原更が2012年に同じEMON PHOTO GALLERYで開催した「Neuma」は、なかなか印象深い展示だった。大判のインスタントカメラのフィルムで、蓮の茎や葉、水面などを撮影した画像をスキャンして拡大した作品は、緩やかにうねりつつ流れる音楽を画面に封じ込めたような、繊細な触感を感じさせた。だが、今回の「La vie en rose Phosphorescences」では、同じ色彩とマチエールの音楽でも、まったく異なる印象を与えるものになっている。
「La vie en rose」というのは、いうまでもなくエディット・ピアフの名曲「ばら色の人生」からとられたタイトル。藤原が2014年に参加したフランス・アヴェロン県で開催されたフォト・フェスティバルの共通テーマだったのだという。タイトル通りに、今回は薔薇の花をクローズアップで撮影した作品が並んでいた。透明な素材にプリントする、布にプリントして天井から吊り下げる、アルミ板に反射させて奥行き感を出すなど、さまざまな工夫を凝らして、薔薇の宇宙に包み込まれるようなインスタレーションを試みている。つい「花肉」という言葉を使いたくなるような、ぬめりを帯びた生々しい触感と、ヴィヴィッドな原色の使用が、このシリーズを特徴づけているといえるだろう。本作はソウル、ニューヨークでも展示され、好評を博したようだが、まださらなる展開がありそうだ。薔薇の象徴性とエロス性を、より強く打ち出していくことで、作品の強度をもう一段上げていってほしい。薔薇と他の被写体(たとえば人の )などとの組み合わせも考えられそうだ。

2015/06/05(金)(飯沢耕太郎)

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