2017年09月15日号
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artscapeレビュー

赤鹿麻耶「ぴょんぴょんプロジェクト vol.1 Did you sleep well?」

2015年07月15日号

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会期:2015/06/05~2015/06/14

松の湯2階[東京都]

2011年度の「写真新世紀」でグランプリを受賞し、翌年ビジュアルアーツフォトアワード受賞作『風を食べる』(発売=赤々舎)を刊行した赤鹿麻耶が、新たなプロジェクトを始動した。
不穏な空気感を醸し出していた前作の勢いを受け継ぎつつ、「笑い」をともなったパフォーマンスの要素をより強化している。起点となる「イメージ」は、「誰しもが目にするモノや風景」からヒントを得ているという。たとえば「コンビニのソフトクリームだったり、おばさんのゴミ出しの様子だったり」なのだが、それをそのまま再現するのではなく、一ひねり半くらいねじって、過剰な身振りで身近な友人たちに演じさせる。同じ人物が何度か登場してくるので、もはや「赤鹿劇団」と呼びたくなるほどだ。
ただ、パフォーマンスの内容があまりにも支離滅裂なのと、着地点が曖昧なので、どうしてももどかしさがつきまとってしまう。『風を食べる』と比較すると、人物やモノをかなり近い距離でストロボを焚いて撮影しているものが多く、画面処理が単調なのも気になる。もう少しテーマ性、ストーリー性をくっきりと打ち出してもいいと思うし、中心場面から外れた場所で起こっている出来事も取り入れていく余裕もほしい。展示と同時に上映されていた無題の映像作品(コント風の場面がアトランダムにつながる)の方に、むしろ可能性を感じた。今のところ写真作品のメイキング的な扱いだが、こちらが主役になる形も考えられそうだ。
特筆すべきなのは会場設定のユニークさで、営業中の銭湯の2階スペースを、とてもうまく使いこなしていた。写真を床に敷き詰めたり、浴槽に浮かべたりするトリッキーなインスタレーションにまったく違和感がないのが、大阪出身の赤鹿の持ち味というべきだろう。なお、本展は4月24日~30日には大阪市生野区の「桃谷の空き地」で開催された。展示場所へのこだわりも、さらに突き詰めていってほしいものだ。

2015/06/12(金)(飯沢耕太郎)

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