2017年06月15日号
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artscapeレビュー

久松知子「美術家の幸福論!」

2015年07月15日号

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会期:2015/05/29~2015/06/14

六本木ヒルズA/Dギャラリー[東京都]

第18回岡本太郎現代芸術賞の「岡本敏子賞」受賞記念展。美術家は必ずしも幸せな人生を送るわけではなく、むしろ不幸な美術家ほど大成してるのではないか? との疑問から、今回は「美術家の幸福」をテーマにしている。「幸福への試論:画家に聞く」のシリーズは、平山郁夫、藤田嗣治、横山大観、松本竣介の4人がそれぞれ自作を背に食事を準備する場面を描いたもの。平山は高価な群青をふんだんに使ったシルクロードの絵の前で、白飯にアジの開きや卵焼きという和風料理、藤田は《アッツ島玉砕》の前でクロワッサンとカフェオレ、大観はたくさんの富士山の絵をバックに鯛で日本酒を一杯、竣介はニコライ堂らしき絵の前にフルーツポンチが置いてある。なんでフルーツポンチだろうと思ったら、彼は「フルポン(フルーツポンチの略)」と呼ばれていたらしい。よく調べているし、アイロニーも効いている。100号の大作《岡本太郎と誕生日会》は、赤いジャージの作者が正装した岡本太郎と円卓を囲み、誕生会を祝ってるところ。円卓の上には大きなイチゴケーキに《重工業》のネギ、犠牲の子羊、底に顔があってもいいウィスキーグラスなどが置かれている。これは楽しい。《美術家の幸福祈願》は、作者を含めた日本の若手美術家たちが20人ほど宝船に載っている巨大な絵馬。沈没しないよう祈る。その回りにも小さな絵馬がたくさん飾ってあって、1万円くらいから買える。日本画出身では久々の逸材。

2015/06/02(火)(村田真)

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