artscapeレビュー

水と土の芸術祭のベースキャンプ(旧二葉中学校)

2015年09月15日号

[新潟県]

各教室で潟をテーマにした作品を設置する。建築系では、歴史家の倉方俊輔による仏壇リサーチと、アトリエ・ワンのドローイングなど。アートはイ・スギョンの陶片再構成の作品、そして特に新潟と東京の関係を考える吉原悠博の《培養都市》の映像が素晴らしい。
そして学校を出て、潟めぐりに繰り出す。上堰潟エリアでは、上に乗るとゆらゆら揺れる藤野高志のアーチと、水辺に入る体験が新鮮な驚きをもたらす、土屋公雄APTの《海抜ゼロ》。佐潟エリアでは、搭状の構築物になったアトリエ・ワンの観測舎。いずれも自然がつくり出した潟というランドスケープが圧倒的な存在感だ。鳥屋野潟エリアへ。金野千恵の《山から海へ旅するカフェ》は、師匠のホワイト・リムジン・屋台に比べると、プリミティブ・ハットに近い大胆で荒々しい構造物である。大矢りかの《田舟で漕ぎ出す。》は、ひとりで制作し、内側に小さな田を抱えた舟が潟を向く。

左上から倉方俊輔の展示、アトリエ・ワンのドローイング、藤野高志の作品、金野千恵の作品。右上から吉原悠博《栽培都市》、土屋公雄APT《海抜ゼロ》、アトリエ・ワンの観測舎、大矢りか《田舟で漕ぎ出す》

2015/08/10(月)(五十嵐太郎)

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