artscapeレビュー

パラレルワールド または私は如何にして世界を愛するようになったか

2015年10月01日号

会期:2015/09/09~2015/10/18

京都芸術センター[京都府]

ベテランと若手が出会い、互いに触発し合うことをテーマとする展覧会。今回はフランス出身のピエール=ジャン・ジルーと、アメリカ出身のカンガワ ユウジンが、対照的な映像作品を見せてくれた。ジルーの作品は、1959年に黒川紀章らが提唱したメタボリズムの建築を、現代の東京に挿入したもの。実写とCGを組み合わせた精密な映像は、不思議なリアリズムと祝祭感をもって見る者に迫る。一方カンガワは東北の山岳信仰を取材し、冬の雪山や森、植物、滝などと、天体の運行を捉えた映像を表裏2面のスクリーンで同時に上映。水墨画を思わせる渋いモノクロ映像で、一種形而上とも言える世界を出現させた。ともに日本で取材をしながら、まったく逆方向とも言える対照的な世界観を見られるのが本展の面白さである。

2015/09/15(火)(小吹隆文)

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