artscapeレビュー

熊田悠夢「木彫展──モーメントの稜線」

2015年11月01日号

会期:2015/09/29~2015/10/04

同時代ギャラリー[京都府]

丘陵地帯のなだらかな稜線を思わせる板状の木彫と、同様の形状を天部に配した収納具、お盆、レリーフ、観客が操作するからくり仕掛けのような作品などを出展。それらには部分的に漆が用いられている。作品に接近し、稜線部分に目線を合わせると、それこそ自分が丘陵地帯を歩いているような気分に。爽快な風が駆け抜け、青空を雲が流れていく場面が脳裏をよぎる。この伸びやかで気持ちのいい作品をつくる熊田は、京都市立芸術大学大学院で漆工芸(木工)を専攻する新進作家だ。変に屈折していないのが彼女の良いところ。このまま真っすぐ成長して、独自の世界を花開かせてほしい。

2015/10/03(土)(小吹隆文)

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