artscapeレビュー

星野暁展「土と手の間から」/星野暁展「BLACK HORSE IN THE DARK──始原の知覚」

2015年11月01日号

会期:2015/09/25~2015/10/31

艸居/アートコートギャラリー[京都府/大阪府]

陶土を指や掌で押すプリミティブな行為が集積した形状と、黒陶による漆黒の色合いを特徴とする陶オブジェで知られる星野暁。彼の国内では久々の個展が京都と大阪で開催された。順序が逆になるが、後発の大阪展では上記手法の新作群を出展。なかでも、気象図の台風を思わせる3つの渦巻きを壁面に配し、それぞれの手前に塔柱を配した《走泥──水と土の記憶》は、天地約5.4m×左右約17.6m(2辺合計)の大作ということもあり、強烈な存在感を放っていた。一方、先発の京都展では、釉薬を用いた作品が目を引いた。それらは形状こそ従来と同様だが、オブジェの頂上部から掛けられた白い釉薬が下部まで流れ落ち、窪みに溜まっている。一般的な陶芸の対極を行く作風で知られる星野だが、本作は陶芸への接近が感じられる。今後の展開が気になるところだ。

各会期:
「土と手の間から」艸居[京都府]2015/09/25~2015/10/11
「BLACK HORSE IN THE DARK──始原の知覚」アートコートギャラリー[大阪府]2015/10/06~2015/10/31

2015/10/03(土)/2015/10/06(火)(小吹隆文)

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