artscapeレビュー

杉田一弥×来田猛展「FLOWERS」

2015年11月01日号

会期:2015/10/19~2015/10/24

ギャラリー白/ギャラリー白3[大阪府]

陶芸コレクターで華道家の杉田一弥が、自身が所蔵する器に花を生け、写真家の来田猛が撮影した写真作品として展示している。杉田は一昨年に同様の作品集『香玉』(青幻社)を出版しているが(写真家は木村羊一)、今回は写真家を来田猛に交代し新たなチャレンジを行なった。器の陶芸家は、鯉江良二、柳原睦夫、加藤委、熊倉順吉、滝口和男などで、杉田は彼らに挑むかのように斬新な花の造形を展開、来田は4×5の大判フィルムで撮影した後、高解像度でデジタルスキャンし、あえて大きなサイズでプリントしたものをアクリルマウントして見せている。実物より大きく引き伸ばされた作品は、その解像度と発色ゆえに新たな生命を吹き込まれており、生で見る生け花とは別種の感動があった。まさに器・花・写真が三位一体となった表現であり、きわめて上質なコラボレーションと言えるだろう。

2015/10/19(月)(小吹隆文)

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