2018年11月15日号
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artscapeレビュー

堂島リバービエンナーレ2015 テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー──同時代性の潮流

2015年11月01日号

会期:2015/07/25~2015/08/30

堂島リバーフォーラム[大阪府]

4回目の堂島リバービエンナーレ。大阪市の中心街にある堂島リバーフォーラムを会場に催されている典型的な都市型の国際展である。だが市民参加や祝祭性の演出、あるいは他ジャンルとのクロスカルチャーなどには脇目もふらず、あくまでもコンテンポラリーアートの王道を追究する姿勢が、他の都市型の国際展とは一線を画している。
事実、今回出品したアーティストはいずれも現代美術のハードコア。近年再評価の機運が高まりつつあるThe PLAYをはじめ、島袋道浩や下道基行、サイモン・フジワラなど、国内外から15組が参加した。映像を投影した広大な床一面に鑑賞者を導き、音と映像の流動性を全身で体感させた池田亮司のサウンド・インスタレーションなど見どころも多い。
ひときわ異彩を放っていたのは、スーパーフレックスの《水没したマクドナルド》。第3回恵比寿映像祭でも発表された作品だが、今回の展示場所が地下空間だったせいか、よりいっそう不穏な雰囲気が醸し出されていた。映像に映されているのは、日頃見慣れたマクドナルドの店舗。人影は一切見当たらないが、電気が煌々と灯され、食べかけの商品も残されているので、人の気配はそこかしこに漂っている。すると、どこからともなく水が侵入してきて、テーブルに残された商品や椅子などを呑み込みながら、徐々に水位を上げていく。やがて店内に設置されたドナルドの立体像が水面を漂い始めるほど、店内は大量の水で満たされる、という作品だ。
恵比寿映像祭で発表されたのは、東日本大震災直前の2011年2月。むろん当時も津波を連想させないことはなかったが、現在改めて見直してみると、津波という直接的な連想より、むしろ資本主義社会の消費文明を想起した。水の中を漂う商品や器物は、自然災害の被災者というより、むしろ資本主義社会の束縛から解き放たれた多幸感にあふれているように見えたからだ。水という自然の力に身を委ねることによって、資本主義という重力から逃れていると言ってもいい。この作品は一見すると消費文明の成れの果てのデストピアを描いているようだが、実は逆に消費文明の先に到来するユートピアを表現しているのではないか。

2015/08/28(金)(福住廉)

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