2017年08月01日号
次回9月1日更新予定

artscapeレビュー

オノデラユキ「Muybridge's Twist」

2015年11月15日号

twitterでつぶやく

会期:2015/10/07~2015/11/10

ツァイト・フォト・サロン[東京都]

オノデラユキの発想力と作品の構築力にはいつも驚かされる。今回ツァイト・フォト・サロンで展示された「Muybridge's Twist」は、今年4月~6月のパリ・ヨーロッパ写真美術館(MEP)での個展で、最初に発表されたシリーズだが、まずそのスケールに度肝を抜かれる。最大で304×210センチの大きさで、やや天井が低い今回の会場の壁にはおさまりきれず、上下にはみ出しているものもある。
内容的にもかなりトリッキーで、複数の写真図版(モード、建築、オブジェ等)を複写して大きく引き伸し、それらを自在に切断/コラージュしてキャンバス地に水性の糊で貼り付けてあるのだ。「Muybridge's Twist」というのは、いうまでもなく、19世紀に運動している動物や人間を連続的に連続撮影して、「動き」の瞬間のフォルムを定着しようとしたエドワード・マイブリッジにちなんだタイトルである。オノデラはマイブリッジの手法を逆転させて、動かない写真に「動き」を与えようともくろむ。その「コレオグラフィ」的な操作はかなり成功していて、奇妙に歪んだり捩じれたりした、リアルな夢のようなイメージが出現していた。写真と写真のつなぎ目に、切り取りの「当たり」の線をわざと残したり、地の部分に木炭で薄く影を入れたりする、細やかな配慮もうまく効いていたのではないかと思う。
会場にはもう一つ、2本のペットボトルを、「不意打ち」のようにあり得ない形に接続して撮影したシリーズも並んでいた。こちらは「Study for “Image la sauvette”」というタイトルが示すように、アンリ・カルティエ=ブレッソンへのオマージュだという( “Image la sauvette”は『決定的瞬間』の仏語版のタイトル)。写真史を渉猟しつつ、新たなイメージを創出していくオノデラの試みは、さらにスリリングなものになりつつある。

2015/10/08(木)(飯沢耕太郎)

▲ページの先頭へ

2015年11月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ