2017年10月15日号
次回11月1日更新予定

artscapeレビュー

ポール・コイカー「ヌード アニマル シガー」

2015年11月15日号

twitterでつぶやく

会期:2015/10/03~2015/11/22

G/P GALLERY[東京都]

オランダの写真家、ポール・コイカー(Paul Kooiker 1964~)は、以前から気になる写真家の一人だった。肥満体の女性をモデルにした写真集『Heaven』(2012)など、ユーモアと観察力が結びついた独特の世界観の持ち主だと思う。今回のG/P GALLERYでの展示は、そのコイカーの日本で最初の個展であり、ハーグ写真美術館で2014年に開催された回顧展に出品された「Nude Animal Cigar」のシリーズから抜粋した作品を見ることができた。
タイトル通り、ヌード(例によってふくよかな女性たち)、動物園で撮影された動物や鳥たち、そして愛煙家である彼にとって愛着のある品物であるシガーの吸い殻の3つのテーマが、生真面目に撮影され、やや茶色がかった色味のモノクローム写真にプリントされて、図鑑のような趣で並んでいる。「3つのオブジェを3部構成のユニットとして組み合わせて、ケミカルな反応が引き起こされるインスタレーション」として提示するという意図が、明確に伝わってくるいい展示だった。
連想したのは、マン・レイ、J.アンドレ・ボワッファール、ハンス・ベルメール、ヴォルスら、シュレアリスムとその周辺のアーティストたちが1920~30年代に撮影した写真群である。彼らは無意識の領域にうごめく性的な欲望を、ヌードやオブジェに託して隠喩的に表現したのだが、コイカーも明らかにその系譜に連なる写真家といえるだろう。プリントのやや古風な雰囲気が、シュルレアリストの末裔という彼のポジションにうまくはまっているように感じた。

2015/10/20(火)(飯沢耕太郎)

▲ページの先頭へ

2015年11月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ