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武器をアートに──モザンビークにおける平和構築

2015年11月15日号

会期:2015/10/17~2015/11/23

東京藝術大学大学美術館[東京都]

サブタイトルに「モザンビークにおける平和構築」とあるように、1975年の独立以来内戦が続いたアフリカ南東部のモザンビークで、大量に供給された武器を農具や自転車と交換するプロジェクトが進んでいるが、その武器の一部が解体されたうえ、アートの素材として使われている。ネガティブなものをポジティブに価値転換するにはアートがいちばんだからね(ポジティブなものをネガティブに変えるアートもあるが)。これらの作品は以前、大阪の民博で見たことがあるので新鮮味はないが、楽しげに楽器を弾く人物像の頭部が銃の一部でつくられていたりすると、ちょっと複雑な気分になる。だが逆に、今回の目玉でもある《いのちの輪だち》のような大作になると、武器が使われてることがわかりづらくなり、ただのヘタな鉄の彫刻にしか見えなくなる。やはりどこかに武器であった痕跡をはっきり残しておかないと、アートとしての緊張感が低下してしまうのだ。ちなみに、使われてる武器は圧倒的にAKB48、じゃなくてAK-47(いわゆるカラシニコフ)が多いようだ。

2015/10/23(金)(村田真)

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