2018年10月15日号
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artscapeレビュー

中村協子展「孤独なフェティッシュ(Dear Henry)」

2016年01月15日号

会期:2015/11/24~2015/11/29

アートスペース虹[京都府]

自分のアンテナに引っかかった対象物を事細かに観察し、ドローイングや絵画(文章や記号を含む)に仕立て上げる中村協子。彼女の作品の特徴は、独特の着眼点を持つこと、不器用さを残した線を引くこと、大量の作品を制作することだ。本人はいつも冷静で落ち着いたパーソナリティ─の持ち主だが、作品はとてもエキセントリックで、そのギャップが際立つ。2010年以来の個展となる今回は、絵ではなく約80点のドール服を出品。それらはいずれも、アウトサイダー・アートの著名作家ヘンリー・ダーガーの作品に登場する少女たちの服装を再現したものだ。ダーガーは孤独な人生を過ごし、亡くなる直前まで誰にも知られず長大な物語と挿絵を作り続けた。中村はドール服を作ることで、ダーガーの孤独に寄り添おうとしたようだ。また本作のテーマには、制作中のアーティストが抱える孤独、幼子を持つ母(中村もその一人)が感じる孤独も含まれているように思う。一見可愛らしいドール服の裏には、孤独を巡る考察が幾重にも張り巡らされているのだ。

2015/11/24(火)(小吹隆文)

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