2018年01月15日号
次回2月1日更新予定

artscapeレビュー

西野壮平「Action Drawing: Diorama Maps and New Work」

2016年01月15日号

会期:2015/11/26~2016/01/17

IMA CONCEPT STORE[東京都]

西野壮平は2003年以来、世界各地の都市を35ミリのモノクロフィルムで撮影し、それらをキャンバス上にコラージュの手法で貼り合わせていく「Diorama Map」のシリーズを発表し続けてきた。今回の個展では、その中から2004年と2014年に制作された「東京」の両作品、完成したばかりの「ヨハネスブルグ」が展示されていた。そのほかに、その日の移動の軌跡を身につけていたGPS装置の画像を、フォトグラムの手法でなぞって描き出した、新作の「Day Drawing」のシリーズが発表され、「ギャラリー内をアトリエとして滞在し、この秋ハバナで撮影したばかりの作品を公開制作する」という盛りだくさんの内容になっている。西野の仕事の幅が大きく広がり始めていることのあらわれといえるだろう。
これまで続けてきた「Diorama Map」は、たしかに質的にも量的にもめざましい印象を与える作品だ。ただ、この作品の魅力が、西野が実際にカメラ片手に都市の街路を歩き回り、数万枚に及ぶという写真を撮影・プリントして、鋏と糊で貼り付けていくという、身体的な行為の積み上げに支えられてきたことは否定できない。ということは、オリジナルのコラージュ作品にこそ圧倒的なパワーが宿っているはずで、今回のようにそれを「LIGHT JET PRINT」で複写してプリントしたものではその迫力は薄らいでしまうのではないだろうか。それだけでなく、今回はさらに2014年版の「東京」を素材として、それを10×16センチの720枚のプリントに分割し、参加者がそこからパソコンを使って10枚を選んで販売していた。そうなると、さらに身体性が希薄になっていくわけで、このような試みは諸刃の剣のように思えてならない。
なお展覧会にあわせて、西野にとっては初めての写真集となる『東京』(アマナ)も刊行されている。やはり分割画面をページごとに印刷したコンセプト・ブックで、オブジェとしての面白味はあるが、やはり西野の本来の作業とは微妙にずれているように感じた。

2015/12/12(土)(飯沢耕太郎)

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