2018年07月15日号
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artscapeレビュー

写真新世紀2015 東京展

2016年01月15日号

会期:2015/12/03~2016/12/25

ヒルサイドテラス/ヒルサイドフォーラム[東京都]

キヤノン主催の写真公募展「写真新世紀」も変革の時期を迎えつつあるようだ。1991年のスタートから25周年ということで、今回から清水穣(写真評論家)を除いて審査員が大きく変わった。「写真新世紀」の受賞者でもある澤田知子、野口里佳に加えて、フリッツ・ヒールベルフ(オランダ写真美術館キュレーター)、荒木夏美(森美術館キュレーター)、さわひらき(美術家)が審査にあたった。さらに大きな変化は動画映像の応募が可能になったことで、グランプリを受賞した迫鉄平の「Made of Stone」(さわひらき選)がまさに動画作品だった。ほかに優秀賞を受賞したのは、新垣隆太「Sweep」(澤田知子選)、岸啓介「HAKKOxRebirth」(野口里佳選)、HALKA「レッツゴー二匹」(荒木夏美選)、松本卓也「Tangent Point」(フリッツ・ヒールベルフ選)、三田健志「等高線を登る」(清水穣選)である。
出品作品の幅を動画にまで広げたのは、とりあえず成功だったのではないだろうか。カメラに動画機能が組み込まれていることもあり、静止画像と動画のあいだを隔てる壁はかなりなくなりつつあるように思う。スナップショットの映像化というべき今回の迫の作品がそうだったように、今後はその境界領域を行き来する作品がもっと増えてくるだろう。逆に、静止画像であることの意味づけが必要になってくる時代が、もう間もなくくるのかもしれない。
同会場では、前回のグランプリ受賞者、須藤絢乃の新作個展「面影 Autoscopy」も開催されていた。「赤の他人」のポートレートに彼女自身の「面影」をうっすらと重ねあわせ、奇妙な揺らぎを生じさせている。着実に自分の作品世界を深めつつあるのではないだろうか。さらにアーティストトーク、ポートフォリオレビュー、写真レクチャー、映像ライブなどの多彩なイベントも開催され、未来志向がより強まっていた。そのことをポジティブに評価したい。
公式サイト:http://web.canon.jp/scsa/newcosmos/

2015/12/19(土)(飯沢耕太郎)

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