2018年10月15日号
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artscapeレビュー

小沢剛展 帰って来たペインターF

2016年01月15日号

会期:2015/10/23~2015/12/27

資生堂ギャラリー[東京都]

パリで名声を確立した「ペインターF」は戦争勃発で日本に戻り、戦争画を制作。終戦になるとパリならぬインドネシアのバリ島に赴き、そこで人生を全うした。……はずなのに、数十年後ふたりのFが帰国して、再び戦争が勃発。ひとりは逃げ、ひとりは芸術の力で平和な世界をつくろうとしたが、うまくいかなかった……といったストーリーを、ふたりのインドネシアのストリートペインターに4点ずつ描かせている(前半の4点はほとんどモノクローム、後半は着色だが、時間が足りなかったのか中途半端に終わっている)。各画面は戦争画の標準サイズとほぼ同じ200号程度。「ペインターF」とはもちろん藤田嗣治のことだが、最後に付け足しのように登場するふたりのFは、藤田のように時代の波に乗ることができなかったアーティストの選択肢を示しているようだ。それにしてもゆるいなあ。物語から作品制作まで多くの人とコラボレーションしたせいか、ストーリーもゆるいが、絵もゆるい。このゆるさが小沢らしいといえばらしいけどね。

2015/12/01(火)(村田真)

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