2018年10月15日号
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artscapeレビュー

東京藝術大学大学院美術研究科 平成27年度 博士審査展

2016年01月15日号

会期:2015/12/15~2015/12/24

東京藝術大学大学美術館+絵画棟など[東京都]

藝大博士課程の展示。専攻別に見ると、文化財保存学が最多の6人で、先端芸術表現5人、日本画、油画、芸術学が各4人、彫刻3人、工芸2人、デザイン、建築が各1人と続く。やはり金にならないジャンルほど大学院に残るようだ。しかも博士課程まで行くとドツボにはまり、ますます売れそうにないもの、役に立たないものをつくってしまいがち。展示を見ると、かたわらに置かれた論文に目を通せばもう少し理解できるだろうけど、そんなヒマもないので、つい視覚的にインパクトのあるものに足を止めてしまう。菱山裕子はしばしば銀座の画廊で個展を開いてきたベテランといっていいが、今回は空気を送り込んで膨らませる植物状(またはタコ足状)のバルーンを用いている。これまでの金網の彫刻から脱却か。川島大幸は半透明の光学ガラス製の彫刻を回転させ、そこに光を当てて壁に反射させている。これはガラスの彫刻がメインなのか、光の反射がメインなのか……まあどっちも重要だろうけど。笹川治子はベニヤ製の人間魚雷をつくり、天井から吊るしている。いかにもチープなつくりで笑えるが、実は大戦末期に粗造された人間魚雷もこれと大して変わりがなかったとしたら恐ろしくなる。

2015/12/23(水)(村田真)

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