2018年04月15日号
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artscapeレビュー

江口寿史 展「KING OF POP」

2016年01月15日号

会期:2015/12/05~2016/01/31

川崎市市民ミュージアム[神奈川県]

画業38年というタイミングが微妙であるが、作品集『KING OF POP 江口寿史 全イラストレーション』(玄光社、2015)の刊行を記念して北九州市漫画ミュージアム(2015/9/19~11/03)から始まった江口寿史作品の巡回展。会場は二つのパートに分かれている。漫画のパートでは1977年の最初の連載作品「すすめ!! パイレーツ」から始まり、「ストップ! ひばりくん!!」、「エイジ」など、ギャグとシリアスとのあいだを自在に交錯する作品原画。イラストレーションのパート(作品集刊行記念なのでこちらがメイン)では、80年代から現在まで年代順にその仕事が紹介されている。2000年代の次が「2008~2015」と区分されているのは、2008年に刊行された作品集以降の作品ということだそうだ。80年代の作品は洗練されつつも漫画的な記号、表現が見えるのだが、次第に現在の画風に至る独特なリアリズムへと変化している様子がわかる(時期的には漫画の仕事が減っている)。着色する画材が、パントーンからマーカー、デジタルへと変わっているが、それはあまり作風への影響はないように思われる。江口寿史の描くかわいい女の子の特徴として鼻の表現──鼻の穴のみを点のように描く──が指摘されているが、それはもちろんのこととして、そのファッション、そして人物のポージング──指先や爪先、そして髪の毛先の演技──によって生まれるかわいさ、あるいはかっこよさ、あるいは乾いたエロティシズムも江口作品の記号として注目したい。江口氏が展覧会開会式に30分遅れてやってきたのは、「白いワニ」を知る世代にとってはある意味お約束どおり。[新川徳彦]

チラシクレジット=(c) EGUCHI HISASHI

2015/12/04(金)(SYNK)

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