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artscapeレビュー

DOMANI・明日展

2016年02月15日号

会期:2015/12/12~2016/01/24

国立新美術館[東京都]

文化庁が派遣する芸術家在外研修の成果発表展。今回は「表現と素材──物質と行為と情報の交差」をテーマに、2000年以降の研修生から14人が選ばれた。絵画の木島孝文、富岡直子、古川あいか、彫刻の松岡圭介、映像とインスタレーションの栗林隆、立体モザイクの西ノ宮佳代、写真の田村友一郎といった面々で、テーマどおり「表現と素材」はさまざま。まあだれを選んでもこのテーマから漏れることはないけどね。特筆すべきは木島孝文。縦横8メートル近い壁いっぱいに麻布、セメント、タイル、漆喰などを使った絵をはめ込んでいる。わざわざこの会場に合わせてつくったとしか思えない作品で、展示が終わったらどうするつもりだろう。もうひとりは、ふとんや枕やシーツのしわばかり描いている古川あいか。布の上に布の表情を上書きしてるわけだが、最近は古代彫刻やミケランジェロの着衣像のしわを継ぎはぎしたり、しわの絵を木枠に張らずに天井から吊るすなど、「素材と表現」をさらに重層化させて興味深い。ところで、同展は海外での研修の成果を示す展覧会だと思ったら、なぜかひとりマイペースで風刺木版画を制作し続ける作家がいた。風間サチコだ。彼女のように作風がブレない肝のすわった作家に在外研修は無意味、税金の無駄使いではないか? と思ったら、彼女は優秀美術作品買上制度で文化庁に作品が買い取られたため、在外研修は受けてないけど特別ゲスト枠で出てるそうだ。まぎらわしいよ。

2016/01/22(金)(村田真)

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