2018年01月15日号
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artscapeレビュー

金子國義写真展

2016年03月15日号

会期:2016/01/29~2016/02/21

AKIO NAGASAWA Gallery[東京都]

2015年3月に逝去した金子國義は、日本を代表する画家、イラストレーターとして、素晴らしい作品を発表し続けてきた。その金子が、一時期写真にかなりのめり込んでいたことは、それほど知られていないかもしれない。1980~90年代にかけて多数の写真作品を制作し、写真集『Vamp』(新潮社、1994)、『お遊戯 Les Jeux』(同、1997)などを刊行している。今回のAKIO NAGASAWA Galleryでの個展には、お気に入りの男女モデルに、自作の絵画作品そっくりのメーキャップを施し、パリなどにロケして撮影した代表作約70点が展示されていた。
小道具のセッティングやモデルのポージングは、絵と見まがうほど凝りに凝ったものだが、それでも彼自身、写真の限界を感じていたのではないかと思う。どんなに気を遣っても、写真にはさまざまな夾雑物が写り込んでくるし、最終的な仕上がりも絵画ほど理想化して表現するのはむずかしいからだ。だが、金子の写真を見ていると、そのコントロールがうまくいかないことを、逆に戸惑いつつも愉しんでいたようも思えてくる。彼の絵につきまとう、痛々しいほどにこわばった緊張感が、写真にはほとんど感じられず、むしろリラックスした雰囲気になっているのだ。残念なことに、金子の「写真時代」はそれほど長くは続かなかった。デジタル化以降にも写真を続けていれば、また違った可能性が見えてきたのではないだろうか。
なお、東京・神田神保町の小宮山書店でも、同時期に「金子國義ポラロイド展」(1月29日~2月28日)が開催された。

2016/02/05(金)(飯沢耕太郎)

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