2018年01月15日号
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artscapeレビュー

stereotypical:西山美なコ・川内理香子展

2016年03月15日号

会期:2016/01/26~2016/02/07

Gallery PARC[京都府]

西山美なコと川内理香子による二人展。川内の平面作品では、即興的な鉛筆の線で描かれたラフな人体の一部が生肉のように赤黒く着色され、性器を思わせる肉の割れ目や突起が、よく見るとグロテスクな人の顔になっている。肉を食べることと、相手の肉体の一部を体内に取り込む/取り込まれること。食べることとエロスの同質性。乾いた筆致のなかに、性器が顔と人格をもってしゃべり出し、相手の肉を食いちぎるかのような、性的な妄想が描き出される。
西山美なコは、シュガーペーストでつくったピンクのバラの花を2ヶ月半放置し、空気中の湿気で次第に溶けていく過程を写真に収めた。実際のインスタレーション作品《~melting dream~》は、2014年の「六甲ミーツ・アート芸術散歩2014」で展示されている。森の中のガラスの温室内に、結婚式の披露宴のような豪華なテーブルセッティングがなされ、ファンシーな色彩のバラが、ウェディングケーキのようにこぼれんばかりに盛り付けられている。しかし時間の経過とともに、腐りかけの生肉のように水滴を滴らせ、腐臭の代わりに甘美な砂糖の匂いを漂わせながら、グロテスクに溶け合って色が混濁していく。西山は、ピンクという色彩、「女性への贈り物」を連想させるバラの花、披露宴の演出スタイルといった要素を組み合わせ、砂糖でできたバラが溶けていく様子を見せることで、「幸せな結婚」「幸せな花嫁」という甘い幻想やステレオタイプが儚く溶けていく過程を、甘美にしてグロテスクに出現させている。

2016/02/07(日)(高嶋慈)

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