2018年10月15日号
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FACE 2016 損保ジャパン日本興亜美術賞展

2016年03月15日号

会期:2016/02/20~2016/03/27

損保ジャパン日本興亜美術館[東京都]

公募コンクールの4回目。近年VOCAとかシェルとか企業主催の絵画コンクールが乱立してるけど、いずれもかつてのような日本画・洋画・版画とか具象・抽象といったジャンル分けをせず、絵画表現ならなんでもあり、ときに写真やCGもOKで、しかも審査員がダブることもあるため(本江邦夫氏なんかすべてに絡んでいる)、結果的にどこも同じ作家、似たような傾向の作品が入選・受賞し、どの展覧会もドングリの背比べになってしまう。これではいくらコンクールが増えても、いや増えれば増えるほど同調圧力が働いて表現の多様性が失われてしまいかねない。恐ろしいことだ。といっておこう。さて、審査員や損保ジャパンの学芸課長によれば今年はレベルが低かったようだが、去年初めて見たぼくには今年の入選作のほうが粒よりだった気がする。まず、受賞作品が並ぶ最初の部屋。グランプリは遠藤美香で、モノクロームの木版画が受賞するのは珍しい。画面を草花(水仙)で埋め尽くし、中央やや上にお尻を押さえた後ろ姿の女性を配した図柄。野グソかと思ったが、まさかね。驚くのは画面全体を覆う水仙の葉や花を1枚1枚ていねいに描き尽くしていること。さっきも書いたけど、こういうのを見るとうれしくなる。よくぞグランプリに選んだものだ。受賞者ではあと、小さな円を鎖のように縦につないでレース編みのように描いた松田麗香にも注目したい。画材が日本画のせいかやや工芸的で脆弱な印象はあるけれど、なにか次元の異なる絵画に発展する可能性もあるような気がする。入選者では、抽象化した植物パターンで画面を埋めた浜口麻里奈、横たえた画集を真上から描いた大河原基ら、気になる作家が何人かいたけれど、ひとりだけ挙げるなら、1本の電信柱を濁った色彩と大胆な筆触で描いた井上真友子だ。一見ありがちな絵画だが、この不穏な空気はだれにも真似できないし、だれも真似しようとは思わないだろう。今月ふたりめの村田真賞だ。

2016/02/19(金)(村田真)

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