2018年10月15日号
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artscapeレビュー

キューバの映画ポスター──竹尾ポスターコレクションより

2016年04月01日号

会期:2016/01/07~2016/03/27

東京国立近代美術館フィルムセンター[東京都]

竹尾ポスターコレクションから、革命期から1990年前後までのキューバ映画のポスター85点を紹介する展覧会。1959年の革命以降、キューバは「映画芸術産業庁(ICAIC)」を拠点として先鋭的な映画を送り出してきた。先鋭的あるいは革命的なのは映画ばかりではなく、そのポスターにおいても同様だったという。デザインにはさまざまなデザイナーや画家が招かれ、自由な解釈によるアーティスティックなポスターがつくられた。しばしばタイトルの文字は小さく、それがなんの映画なのかもわかりづらい(近年の日本の説明過剰な映画ポスターとはまったく逆のデザインだ)。ICAICによれば、ポスターは映画とは独立した芸術作品なので、文字は読めなくて構わないのだそうだ。宣伝臭がしないのは、社会主義革命後に資本主義的な「広告advertisement」が禁じられ「プロパガンダpropaganda」に取って代わられたからでもある。印刷技術の点では、オフセット印刷ではなくシルクスクリーンが用いられ続けている点も、広告としてではなく作品としてのポスターであり続ける証左かも知れない。映画の内容に目を向けると、外国映画のポスターの表現にも惹かれる(これは元の映画ポスターを知っているから、キューバにおける表現や解釈の違いに興味惹かれるということでもある)。社会主義国であるソヴィエトや東欧諸国の映画が輸入されたのはもちろんだが、1960年代後半には娯楽映画の輸入にも力が入れられた。革命後にハリウッドの娯楽映画の輸入が途絶えた代わりに、彼らは日本から映画を買い付けた。とりわけ人気だったのが勝新太郎の「座頭市」。日本以外でシリーズ作品16本が上映された国はキューバ以外にはないのだそうだ。1975年に勝新太郎がキューバを訪問したときは大歓迎されたという。アルフレド・ゴンザレス・ロストガルドによる「座頭市兇状旅」のポスターもまた斬新。はたしてキューバ国民のあいだでこのポスターと勝新のイメージが一致していたかどうかはわからないが。
 この展覧会は京都国立近代美術館に巡回する(2016/6/1~2016/7/24)。[新川徳彦]

2016/03/09(水)(SYNK)

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