artscapeレビュー

田中真吾個展「meltrans」

2016年04月01日号

会期:2016/03/04~2016/03/27

eN arts[京都府]

紙や木などを支持体に用い、それらを炎であぶった燃え後、焦げ跡を表現として操る田中真吾。今回の新作では、前回の個展でも部分的に用いられていた色とりどりのビニール袋(スーパーなどのレジ袋)を絵具のように使用。金属板の上にビニール袋を置き、バーナーであぶって溶着させながら、抽象表現主義絵画のような画面をつくり上げた。ビニール袋の溶け具合は作品により異なり、半立体のような盛り上がりがある場合、商店名が判読できるほど原形をとどめている。それを良しとするか、複数の文脈が混入して解釈を妨げていると取るかは見る者次第だが、筆者自身は作家の意欲的な挑戦として肯定的に受け止めた。田中は個展を行なうたびに成果を残す取れ高の多い作家だが、その一方でまとまり過ぎというか、年齢(30代)の割に老練な印象もある。そこをどう突き抜けていくかが今後の課題だろう。

2016/03/05(土)(小吹隆文)

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