2018年04月15日号
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artscapeレビュー

サイモン・フジワラ「ホワイトデー」

2016年04月15日号

会期:2016/01/16~2016/03/27

東京オペラシティ アートギャラリー[東京都]

受付で解説を渡される。読まなきゃ理解できない展覧会なのかな。最初は解説を見ずに回ってみる。まず導入部に、紙袋に入った毛皮、その奥には木の枝が床に置かれ、その下に賽銭のようにコインがまかれている。なんだろう? コインに導かれてメインギャラリーに入ると、古い紙幣でつくった扇子、スターリンらしき人のマスク、割れた陶器、鷲の石像、須田国太郎の掛軸、グラスに入った牛乳の絵、皮革を張ったキャンバス、毛皮の毛を皮からはがす人、マーク・ロスコを縦に延ばしたような絵、大きく引き延ばした名刺、白人女性の型取り彫刻などが並び、隣のギャラリーにも女性の型取り彫刻が兵馬俑よろしく整列し、奥には映像が投影されている。ホワイトキューブの会場、「ホワイトデー」のタイトルも含めてなんとなく「寒い」イメージばかり。解説によれば、バレンタインデーのお返しをするホワイトデーは「個人の感情と消費を結んだ見事なシステム」だとして、「私たちが日ごろ無意識に受け止めている『システム』に光を当て、その背後にさまざまな理由、経緯、ときには思惑が存在することを明らかに」するものだという。具体的にいうと、女性の彫刻はロンドンの暴動に参加したことで液晶モニター工場に送られた少女で、牛乳の絵は、牛乳というものを見たことも飲んだこともない国の絵画工房に依頼して描いてもらったものらしいが、ときにフィクションも挿入されるそうだ。いずれにせよ最初からひとつのインスタレーションを目指したものではなく、個々に組み立てられた物語を寄せ集めてひとつのインスタレーションとして見せたってわけ。これを楽しむにはかなり高感度なセンサーと忍耐力が必要だ。

2016/03/02(水)(村田真)

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