2018年04月15日号
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artscapeレビュー

カラヴァッジョ展

2016年04月15日号

会期:2016/03/01~2016/06/12

国立西洋美術館[東京都]

日本でのカラヴァッジョ展は10数年ぶりだろうか、前回はホンモノがわずかしか来なかったと記憶しているが、今回はけっこう来ているなあという印象だ。それでも出品作品50点ほどのうち、カラヴァッジョはわずか11点にすぎない。なのにたくさん見た気になるのは、残りの40点ほどが彼の影響を受けたカラヴァジェスキの同工異曲の作品なので、ついカラヴァッジョをたくさん見たと錯覚してしまうからだ。それにしてもなぜ11点しか来ないのかというと、もともと全部で60点余りしかないうえ、大作・代表作の多くが壁にはめ込まれて移動不可能だからだ。11点しか来ないのではなく、11点も来てくれたことに感謝すべきかもしれない。イヤミはさておき、おもな作品を列挙すると、背景が明るい初期の《女占い師》、果実の描写が見事な《果物籠を持つ少年》、有名な《バッカス》、有名ではないほうの《エマオの晩餐》、首を斬り落とされた《メドゥーサ》、やけに艶かしい《法悦のマグダラのマリア》など。その合間にホセ・デ・リベーラ、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール、アルテミジア・ジェンティレスキ、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニらカラヴァジェスキの作品が挿入される構成だ。目を引くのは「斬首」を特集した部屋。先の《メドゥーサ》をはじめ、ダヴィデに倒されたゴリアテや、ユディトに寝首を掻かれたホロフェルネスなどの絵を6点ほど集めている。殺人を犯したカラヴァッジョならではの項目立てだが、西洋では「斬首」だけで展覧会が成立するほど人気ある主題でもあるのだ(実際1998年にルーヴル美術館で「斬首の光景」展が開かれている)。さて、カラヴァッジョを離れてもっとも興味深かった1点は、タンツィオ・ダ・ヴァラッロの《長崎におけるフランシスコ会福者たちの殉教》という作品。題名どおり長崎の信者が磔にされる場面を描いたもので、日本に行ったことはおろか極東に関する情報も皆無に近い当時の西洋人にありがちなように、登場人物はほとんど日本人離れしているのだが、でもわずかに2、3人は日本人らしい風貌と服装をしている点に注目したい。

2016/03/17(木)(村田真)

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