2018年12月01日号
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artscapeレビュー

今井祝雄「白のイヴェント×映像・1996-2016」

2016年04月15日号

会期:2016/03/05~2016/04/02

Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku[東京都]

今井祝雄は1966年に東京・銀座の松屋デパートで開催された「空間から環境へ」展に「白のイヴェント×映像」と題する作品を出品した。1メートル角の白いラバースクリーン(4面)の一部が、前後にピストン運動する鉄棒によって隆起を繰り返している。そこに2台のプロジェクターで80点のカラースライドを5秒ごとに投影するという作品である。カラースライドを提供したのは大辻清司、東松照明、奈良原一高、横須賀功光。現代美術アーティストと写真家が合体したユニークなプロジェクトだった。今回Yumiko Chiba Associates viewing room shinjukuで再現されたのは、そのうちの一面のみだが、当時の臨場感が伝わってくる面白い展示になっていた。
なお、大辻(ヌード)と東松(顕微鏡写真、モンタージュ作品)のカラースライドは1966年当時のものだが、奈良原と横須賀は特定がむずかしかったので、鷹野隆大の「毎日写真」のシリーズに置き換えられている。だが、逆にそのことによって、1966年の時空間が2016年のそれと接続し、伸び縮みする映像の生々しさがより際立ってきていた。鷹野の素っ気ない風景写真に写り込んでいる建物の一部が、呼吸するようにうごめく様が、奇妙なユーモアを醸し出していたのだ。今後はほかの現代写真家の画像を使って、作品を更新し続けていくこともできそうだ。
今井は1946年の生まれだから、当時は弱冠20歳だったわけで、それを考えるとやや忸怩たる思いがある。最近の若い写真家やアーティストたちの作品は、小綺麗にはまとまっているが、未知の状況にチャレンジしていく意欲を欠いているように思えてしまうからだ。本作のような、現代美術や写真のジャンル分けを踏み越えていく破天荒な作品をもっと見たい。

2016/03/17(木)(飯沢耕太郎)

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