2018年04月15日号
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artscapeレビュー

細倉真弓「CYALIUM」

2016年05月15日号

会期:2016/04/02~2016/05/15

G/P gallery[東京都]

1979年、京都府生まれの細倉真弓の作品は、彼女が日本大学芸術学部写真学科在学中から見ているのだが、このところ表現力が格段に上がってきているように思える。2014年のG/P galleryでの個展「クリスタル ラブ スターライト」(TYCOON BOOKSから同名の写真集も刊行)に続いて、イギリスの出版社MACKから『Transparency is the new mystery』が出版された。深瀬昌久、ホンマタカシの写真集と同時刊行ということは、日本の若手写真家の代表格として選ばれたということで、彼女の作品の評価の高まりのあらわれといえるのではないだろうか。
今回のG/P galleryでの個展「CYALIUM」でも新たな手法にチャレンジしていた。「CYALIUM」というのは「化学発光による照明器具「cyalume(サイリューム)」に金属元素の語尾「lium」を加えた造語」だという。たしかに、カラー照明を思わせる、ハレーションを起こしそうな色味の写真が並んでいるのだが、それはカラー写真の6原色(R/G/B/Y/M/C)のどれかにブラックを加えた、7色の組み合わせによってつくられているのだという。色同士のぶつかり合いに加えて、男女のヌードと植物や岩の画像が対比され、心が浮き立つような視覚的効果が生じてくる。実物の照明器具を使ったインスタレーションも効果的だった。
ただ、作品の展示効果が洗練されていくにつれて、なぜヌードなのか、鉱物なのかという、細倉にとっての切実な動機が希薄になっていくようでもある。その点では、ヌード撮影の現場の状況をざっくりと切り取った映像作品(モニターが床に置いてある)のほうが、むしろ彼女の現実世界との向き合い方を、よりストレートに表現しているように思えた。

2016/04/22(金)(飯沢耕太郎)

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