2018年10月15日号
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artscapeレビュー

ここにもアートかわぐち

2016年05月15日号

会期:2016/03/19~2016/05/14

川口市立アートギャラリー・アトリア+キュポ・ラ+川口市立グリーンセンター[埼玉県]

川口市のギャラリー・アトリア開館10周年記念展。ギャラリー内だけでなく、駅前のビルや市内の植物園にも計17人の作品を点在させている。まずは駅前ビルのキュポ・ラ。若い人には伝わらないだろうけど、川口といえばかつて鋳物が有名で、「キューポラ(溶解炉)のある街」として知られていたことから命名された。そのキュポ・ラの7階は映像・情報メディアセンターになっていて、壁には杖ばかりを撮った大和由佳の写真が並び、空きスペースには佐藤裕一郎による巨大画面の抽象的な日本画が鎮座、といったようにビル全体で8人の作品が展示されている。また、車で20分ほど走った郊外のグリーンセンター内にあるシャトー赤柴には、サボテンを思わせる青木邦眞の彫刻と、堀口泰代の帆船を載せたようなカツラを設置。わざわざこれだけを見に行くのはツライが、グリーンセンターは種々の花々が咲いて半日は遊べる。あとはアトリアでの展示で、大半はオーソドックスな絵画や彫刻だが、特筆すべきは、入口上のひさしに送風管のような銀色のチューブをとりつけた遠藤研二の作品。言われなきゃ気づかないが、言われても作品だと気づかない人もいるに違いない。これってひょっとして、配管をむき出しにしたポンピドゥー・センターのパロディ? 出品作家はいずれも、アトリアで毎年開かれてきた「川口の新鋭作家展」に出したことのある、つまり地元ゆかりの作家たち。川口には先にも挙げた鋳物をはじめとする地域資源があり、また地の利にも恵まれているため、掘り起こせばアートのネタにはこと欠かない。予算と人手とやる気があれば、もっと大がかりに地域アートが展開できるだろう。

2016/04/09(土)(村田真)

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