artscapeレビュー

TILT/ティルト コンクリート抽象

2016年05月15日号

会期:2016/04/01~2016/04/30

メグミオギタギャラリー[東京都]

グラフィティライターの展覧会がつまらないのは、ふだん壁に描いてるイメージをそのままキャンバスに縮小再生産しようとするため、のびやかさも緊張感もスケール感も失われ、妙に矮小化されてしまうからだ。だいたいキャンバスに描くならスプレーを使う必要はなく、絵筆で描くべきだ。フランスのグラフィティライターTILTがユニークなのは、キャンバスではなく大きな壁面にスプレーなどで描き、それを分割してタブロー化していること。そのためTILTの作品はオールオーバーで、ひとつのまとまった全体性より、大きなピースの一部であるという部分性が強調され、そこに壁から直接切り取ってきた臨場感が付加される。だからのびやかさもスケール感も失われていないのだ。その壁があらかじめ用意されたものであるとしてもだ。今回はグラフィティを施された建物の側面をそのまま切り取ってきたような巨大作品も展示。

2016/04/16(土)(村田真)

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