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「建築と音楽」展 シンポジウム

2016年05月15日号

会期:2016/04/16

清華大学[中国、北京]

「建築と音楽」のシンポジウム@北京・清華大学に登壇した。同大に拠点を置く雑誌『世界建築』の2月号の特集テーマに合わせた企画である。以前は『建築文化』『SD』『10+1』などの雑誌が特集主義で刊行されていたが、最近日本の建築メディアは単なる作品紹介ばかりで、こうした切り口が激減したなと痛感する。シンポジウムの後、編集者に案内してもらいながら、清華大学のキャンパスを散策する。三度目の訪問だが、周辺部の官舎、ゲストの宿泊施設のほか、大学名の由来となる場所、江南風の庭園、いわゆる西洋風の大学を思わせる一角、牡丹園など、実に広大である。多くの観光客や市民もキャンパスの自然を楽しんでいたのが印象的だった。
シンポジウムの後、清華大学近くの書店に立ち寄る。翻訳された筆者の本も置いてあったが、海外の翻訳書が全ジャンルにわたって、よく揃っていることに感心した。しかも値段が安い。日本だと新書や文庫は安いが、ハードカバー、専門書、翻訳書になると、結構高い。しかし、日本語訳なら2,000円以上はするローラン・ビネやミラン・クンデラの本でさえも、中国語訳だと、現地のコンビニでちょっと食べ物や飲み物を買い物するより安い。これなら学生も気兼ねなく本を購入できるだろう。

写真:左上3枚=《清華大学》、左下=宿舎 右上=マリオボッタによる美術館、右下2枚=《清華園》

2016/04/16(土)(五十嵐太郎)

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