2018年04月15日号
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artscapeレビュー

こどもとファッション ─小さな人たちへのまなざし

2016年06月01日号

会期:2016/04/23~2016/06/05

神戸ファッション美術館[兵庫県]

子供が「発見」されたのは、17世紀以降のこととされる。それまでの子供は、不完全な「小さな大人」として扱われていたから「子供服」と呼ぶべきものは当然なく、成人のファッションの縮小版を纏っていた。大人と区別される「純粋無垢で守り育てるべき子供」という考え方は、近代になって生まれた。本展は、子供服を通して近代における子供観の形成を探求するもの。近代西欧・日本の子供服から、同時代の風俗を伝えるファッション・プレート、ポスター等の関連資料を含む約180点あまりが展示されている。18世紀後半以降、ぴったりとして窮屈な成人服とは異なる、子供期の活動に合わせた服、例えば男児用スケルトン・スーツ(ロンパースのようなつなぎ服)や女児用シュミーズのような新しいスタイルの服が登場する。ゆったりとしたシルエットの子供服のスタイルが、今度は成人のファッションに影響を与えることになる。19世紀になると、大人の服を小さくした子供のファッションという揺り返しが起こるのも興味深いところだ。また本展の面白さは、西洋の事例に加えて、明治期以降の子供服の誕生と変遷にも目配りがされているところにもある。西洋の日本への服飾の影響、さらには、近代の衛生観念の発展と服の関係、子供用絵本がファッションに及ぼした影響、マスメディアとコマーシャリズムの発達による子供服市場の成立など、さまざまな文化現象についての示唆を与えてくれる。[竹内有子]

2015/05/05(木)(SYNK)

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