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没後100年 宮川香山

2016年06月01日号

会期:2016/04/29~2016/07/31

大阪市立東洋陶磁美術館[大阪府]

近代陶芸をリードした初代・宮川香山(1842 ─ 1916)の没後100年を記念する大回顧展。本展では、出世地の京都時代から岡山で虫明焼の指導を経て、輸出用陶磁器を製造するために横浜に眞葛窯を開き、後年に釉下彩磁など釉薬の研究に携わるまでの作品、約150点が展示されている。見どころはなんといっても、眞葛焼の超絶技巧「高浮彫」。香山が世界的に活躍していた明治期は、万国博覧会において日本が国家威信をかけて輸出工芸を「アート」に高めようと奮闘していた時代。万博で彼の高浮彫作品を見た西洋人はびっくり仰天したに違いない。器形の練られた造形には、金と色彩きらびやかな絵付け意匠があり、加えて表面にはスーパー自然主義ともいうべき彫刻的動植物が装飾されているのだ。鳥や猫の毛並み、表情やポーズ、いまにも動き出しそうなリアルさだ。さらに香山の作品中には物語がある。どの花鳥もひとつとして同じではないし、その動きや時間の移ろいまで感じられる。作品の技巧にはそれこそ作家の執念が感じられるが、表現される生物はユーモアやウィットに富む。その独自の作品世界には感嘆するしかない。彼が世界から絶賛されて「魔術師」と呼ばれたのも頷ける。[竹内有子]

2016/05/17(火)(SYNK)

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