2018年04月15日号
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artscapeレビュー

没後100年 宮川香山

2016年06月01日号

会期:2016/04/29~2016/07/31

大阪市立東洋陶磁美術館[大阪府]


明治の陶芸家・宮川香山(1842~1916)といえば、「蟹」(重要文化財《褐釉高浮彫蟹花瓶》)を初めて見た時を思い出す。その異形ぶり、えげつないまでのテクニック。とても人間技とは思えない超絶技巧の仕事を前に、唖然としたまま固まってしまったのだ。本展では、彼の代名詞である高浮彫の作品はもちろん、作風を一転した後期の作品(釉下彩)まで、代表作が網羅されている。高浮彫のスペクタクルな過剰装飾は凄いの一言だが、釉下彩のエレガントなたたずまいも捨てがたい。欧米人が熱狂的に支持したのもわかるし、後のアール・ヌーヴォーに影響を与えたのも頷ける。それにしても、香山を含む明治の工芸家の超絶テクは一体どういうことだろう。彼らは明治時代に活躍したが、そのベースに江戸時代があることを忘れてはいけない。いまさらながら江戸時代の日本文化がどれだけハイレベルだったのかと思い知らされる。本展を鑑賞する際、香山一人ではなく文化的背景にまで思いを巡らせるのが正解だと思う。

2016/04/28(木)(小吹隆文)

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