2018年06月15日号
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artscapeレビュー

坂本素行展

2016年08月01日号

会期:2016/06/20~2016/07/02

ギャラリー上田[東京都]

象嵌技法で緻密かつ色彩豊かな装飾を施したユニークな器を作る坂本素行。今回の展覧会では、初めて手がけたという陶板画が器とともに並ぶ。基本的な技法は器も陶板も変わらない。ベースとなる陶土の上に、異なる色の陶土を重ね、ナイフで模様を切り出しさらに別の色の陶土で埋めてゆく。違いとしては器の場合はボディをろくろで挽くのに対して、陶板は綿棒で板を作るぐらいか(手近な台所道具を活用しているそうだ)。ただ、印象は大きく異なる。用のある器と絵画的な陶板との違いというだけではない。手の跡、釉薬や焼成による斑など、自然による干渉の痕跡を徹底的に消し去っている器の造形に対して、陶板の輪郭は緩やかでしばしば波打っている。均質なパターンで表面が埋め尽くされている器の文様に対して、陶板に描かれるラインは自由。モチーフは主にアルルカン。その理由は、陰影を付けなくてもコスチューム模様の形の変化で身体の立体感を出せるからだそうだ。画面の構成はフランスの古いポスター、絵看板を思わせる。色面と色面が重なり合い透過しているように見える部分があるが、もちろんそれぞれに異なる色の陶土を象嵌して表現している。自由に見えるけれども、器の作品と同様に極めて精緻でデザイン的な仕事なのだ。[新川徳彦]


会場風景

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