artscapeレビュー

Matthew Fasone「Excavation」

2016年08月01日号

会期:2016/06/21~2016/07/03

Art Spot Korin[京都府]

大阪在住のアメリカ人作家マシュー・ファソーン。彼は路上で拾った段ボールや印刷物などを素材にして、アッサンブラージュ作品を制作している。アッサンブラージュという近頃あまり聞かない用語を使ったのは、個展会場のテキストにそう書いてあったからだ。実際彼の作品はアッサンブラージュそのもので、そこにアレンジを加えるとか、現代的な要素を折衷するということはない。つまり、モダンアートの系譜に忠実な作風なのである。では作品が古臭いかというと、全然そんなことはない。静かな詩情をたたえた作品には時流を超越した美が宿っており、むしろ普遍的というべきであろう。ギャラリー巡りをしていると、十年一日のごとく同タイプの作品を発表し続けているベテランと出会うことがある。その作風に説得力を見出せる場合は良いが、見出せなければ、「スタイルが古い」とか「マンネリ」の一言で片づけられてしまうだろう。でも本展を見て、それは違うと思った。スタイルの如何に依らず、フレッシュな感性が息づいているか否か。すべてはそこに帰結するのだろう。

2016/06/28(火)(小吹隆文)

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