2017年12月15日号
次回1月15日更新予定

artscapeレビュー

よみがえれ! シーボルトの日本博物館

2016年08月15日号

会期:2016/07/12~2016/09/04

国立歴史民俗博物館[千葉県]

江戸後期、2度にわたり来日し、長崎・出島のオランダ商館を拠点に日本の自然や文化を調査したドイツ人の医師シーボルト。その彼がヨーロッパに持ち帰った厖大な資料をオランダ、ドイツの各都市で展示し、西洋で初の日本紹介となった。最終的にはミュンヘンに日本博物館の建設を構想したが、果たせずに死去。同展はこれらのコレクションの一部を公開し、シーボルトが思い描いた日本像を紹介するもの。まず初めに出会うのが、胸にたくさん勲章をつけた威厳たっぷりの《シーボルト肖像》。油彩で写実的に描かれており、その後に出てくる日本人が描いたマンガみたいな《シーボルト肖像》と比べると、19世紀の日本と西洋の文化の落差に唖然とさせられる。ほかに、出島で一緒に暮らした日本人女性タキや、ふたりのあいだに生まれた娘イネ(のちに日本初の西洋医学を修得した女性医師となる)の肖像画、帰国後ふたりに宛てた手紙など。さらに、1度目の帰国後に出版した『日本』『日本植物誌』『日本動物誌』の3部作、1度目の滞在で国外退去の原因となった日本地図など。ここまでがプロローグで、本題の「日本博物館」はここからなのだが、実のところこの先は歴史博物館や民俗資料館に行けばいくらでも見られるような日用品、工芸品が並んでいて、ちょっと退屈。そりゃ19世紀のヨーロッパでは珍しがられたかもしれないけど、当時の日本人にとってはありふれたものだからね。でも洋風画を得意とする長崎の絵師、川原慶賀に描かせた《人物画帳》がおもしろい。町人、花魁、大工から盗人まで109人の日本人がフルカラーの全身像で描かれているのだ。これは必見。

2016/07/11(月)(村田真)

artscapeレビュー /relation/e_00035875.json l 10126007

2016年08月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ