2017年12月15日号
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artscapeレビュー

浦芝眞史展 身体の森で

2016年08月15日号

会期:2016/07/20~2016/08/05

ガーディアン・ガーデン[東京都]

1988年、大阪生まれの浦芝眞史は、昨年の第13回写真「1_WALL」展でグランプリを受賞した。本展はその受賞記念展である。受賞作はゲイの男性たちを撮影したスナップ的なポートレートだったのだが、被写体や手法を固定することなく、さらに幅を広げていけるかが大きな課題だと感じていた。今回の展示を見ると、その答えが少しずつかたちをとりはじめているのがわかる。これまでと明らかに違っているのは、モデルのなかに性同一障害の女性が含まれていることで、彼女=彼の「身体の森」に分け入ることで、その揺らぎを写真のなかに取り込むことができるようになっていることだ。今回の「反する性を同時に感じながら」の撮影の経験は、これから先の浦芝の写真世界の展開に、大きな影響を及ぼしていくのではないだろうか。
もうひとつ注目したのは、展示会場のインスタレーションである。大小の写真をフレーミングしたり、壁に直貼りしたりした新作に加えて、「1_WALL」展の受賞対象になった旧作も、サービスサイズほどの小さなプリントに焼いて並べられている。そのことによって、彼の思考と実践がどのように展開してきたのかが、観客にも充分に伝わるつくりになっていた。かつては、ややわざとらしいポージングの写真が多かったのだが、それが新作になるにつれて自然体に変わっていったことも、はっきりと見てとることができた。
身体性のズレや揺らぎに着目して作品を発表してきた写真家といえば、何といっても鷹野隆大(「1_WALL」展の審査員の一人)だ。浦芝も鷹野に続いて、このテーマに新たな角度から取り組んでいってほしい。

2016/07/21(木)(飯沢耕太郎)

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